◆はじめに
結論から言いますと、
「慢性的な肩こり、腰痛などは健康保険を使って治療できません。」とハッキリ表記している接骨院・整骨院は正しく健康保険を取り扱っていると思いますので、ある程度、信頼できる治療院だと認識していただいて構いません。
当院も、慢性的な肩こり、腰痛に対して健康保険を使って治療はしていません。完全自費で治療しています。
なぜなら、その方が質の高い、本当に患者さんのためになる治療ができるからです。週に2回も3回も通わせる必要のない方を治る見込みのない治療をし続けることが嫌なので絶対にそのような方法はいたしません。
そうは言ってもこれだけでは、どうやって良い治療院を選べば良いのか情報が少なすぎますので、これから丁寧に説明していきますね。
◆あなたの治療院選びの基準は何ですか?
街中を歩いているとたくさん医療系の施設が目につきます。
・整形外科
・接骨院・整骨院・鍼灸院
・整体院
・カイロプラクティック
・リラクゼーションサロン・マッサージ屋さん
など…
今やコンビニの数よりも多いのではないかというぐらいですよね。
身体の痛みや不調にお悩みで、色々と治療院といわれるものを探していても、どこが良いのかわからない。
整形外科に行っても、話もあまり聞いてもらえず、とりあえずレントゲンを撮影して、骨に異常ないから、痛み止めとシップを処方されて終わり・・・。
という経験がおありかもしれません。
また、初めて治療院をお探しの方は、何を基準に選んで良いのかわからないのではないかと思います。
今そのような状況であれば、治療院を選ぶ際に重要なことは、今抱えている不調に対してあなたがどうしてほしいのか、自分自身のニーズに合っているかどうかということです。
実際に行って体験してみないとわからないんじゃないの?と思われるかもしれませんが、どうせ行くのであれば、ハズレくじを引きたくないですよね。
当たりの確率を少しでも上げるために知っておいてほしいことをこれからお伝えしていきますので、ご参考にされてください。
◆法律やルールを守っているかどうかで判断する
1.不正に健康保険を使っていないか
接骨院・整骨院で健康保険を使って治療することができる症状は、
・捻挫
・打撲
・挫傷
・肉離れ
・骨折
・脱臼
のみです。
しかし、多くの接骨院・整骨院では、慢性的な肩こりや腰痛で行っているのにも関わらず、健康保険が使えてしまう所があります。
どのような事情があったとしても、捻挫・打撲・挫傷・肉離れ・骨折・脱臼以外の慢性的な症状で健康保険を使って治療を受けることはできません。
健康保険を使って肩こりや腰痛の治療をしている所は、「肩こりや腰痛などをどこかの関節の捻挫や打撲などに置き換えて保険を請求する」という方法を取っていることが多いので、気をつけましょう。
「原因があれば肩こりでも腰痛でも健康保険を使って治療できます」というところもありますが、それは接骨院・整骨院側の勝手な解釈です。
どんな理由があっても、接骨院・整骨院では慢性的なものを健康保険で治療することは違法行為です。
そのような違法行為をする治療院は最初から選択肢から外す方が良いでしょう。
このことを知っているにも関わらず、安くマッサージしてもらえるからという理由で健康保険を利用した場合は、接骨院・整骨院側だけではなく、患者さん側も同罪ということになってしまいます。
2.サブスクなど月額料金を導入していないか
「健康保険治療+延長料金」や「健康保険治療+整体」、最近では「健康保険+月額○○円で通い放題」といった、健康保険治療と自費治療を併用するという方法をとっている接骨院・整骨院は、ほとんどが法律違反をしていると思って間違いないでしょう。
肩こりや腰痛などの慢性的な症状の場合は、もちろん健康保険適用外なので、説明は省きますが、「健康保険治療と自費治療のセット」を堂々と公言している接骨院・整骨院のほとんどが、本来は健康保険が使えるはずのない慢性的な症状を、捻挫・打撲・挫傷・肉離れ・骨折・脱臼に置き換えて請求する、ということをおこなっています。
どれだけホームページなどで良いことが書いてあったとしても、こちらも選択肢から外すことをお勧めします。
3.実際に問い合わせてみる
「肩こりや腰痛の治療を受けたいのですが、健康保険は使えますか?」と電話で聞いてみましょう。
答えが、
①大丈夫です。使えます。 →一発アウトです。
②一度診てみないとなんとも言えません。実際に体の状態を診て判断しますので、ぜひお越しください。 →これもアウトです。行くとあれこれ理由をつけて力技で健康保険を使う方向に持っていかれます。
上記のような回答をする所は、健康保険適用でないはずの慢性的な症状を、捻挫・打撲・挫傷・肉離れ・骨折・脱臼にすり替えています。
例外として、電話口で症状について詳しく聞いてくれたり、これまでの経緯を聞いてくれる治療院は信頼できるケースが多いので、そういったところは、電話でも先生とじっくりお話されて、行く行かないを判断するのも良いでしょう。
何度も繰り返しになりますが、
捻挫・打撲・挫傷・肉離れ・骨折・脱臼以外で健康保険を使って治療はできません。
このように回答する接骨院・整骨院もやはり、選択肢から外すことをお勧めします。
4.国家資格を持っているか
日本国内において、厚生労働省から接骨院・整骨院の開業を認められているのは、
【 柔道整復師 】
のみとなっております。私が所持しているのは、柔道整復師です。
◆無資格者の施術について
治療院の中には、国家資格者以外の方もいます。
例えば、
・整体師
・カイロプラクター
・アロマセラピスト
・タイ古式マッサージ師
・○○認定セラピスト
などなど色々な肩書きを持った方がいますが、これらは国家資格ではなく、たった数回、ひどいものだと3時間ぐらい講習を受けて認定された民間資格などもあります。
治療をするという意味においては、ハズレを引く確率は高くなります。
しかし、国家資格を持っている先生が、必ず技術レベルが高いわけではありませんし、民間資格だからといって腕が悪いということもありません。
ただ一つ確実なことは、国家資格を持っている場合、厚生労働省が定める規定のカリキュラムを3年間もしくは4年間で履修し、なおかつ国家資格試験に合格しているので、最低限の医療知識、技術レベルは持っている確率が非常に高いということです。
◆誇大宣伝をしていないか
例えば、
・1回で90%以上の方が治った!
・医師も推薦する技術
・いくつも専門治療がある
・○○の難病がたったこれだけで治った!
・若いのに20万人の治療実績あり
といったアピールしているところは要注意です。
◆『気持ち良さ』を求めるのか『治療』をするのかを明確に
治療院といっても、得意分野がそれぞれ違っています。自分に適した所に行かないと求めている結果を得ることはできません。
悪い例としては、
お悩みの症状を本気で改善したいと思っているのに、気持ち良さを追求したリラクゼーション系に行ってしまうことです。
あるいは、気持ち良くしてほしいと思っているのに、治すことに特化した所に行ってしまうことです。
これは完全に事前調査が足りていないと思いますので、そうならないためにリラクゼーション系なのか、治療系なのかを見極める方法を
お伝えします。
リラクゼーション系の例
- 60分、90分、120分と比較的長い時間のメニューが多い
- テーピングや包帯といった治療具材がほとんど置いていない
- オイルやアロマなどのメニューがある
- ダイエット系のメニューがある
- 割引クーポン、ポイントカードなどがある
治療系の例
- 1回6000円〜10000円ぐらい
- 時間を取って話を聞いてくれる
- 院内にテーピングや本格的な電気治療機器など、治療で使用するものがたくさんある。
もしあなたが、「この辛い痛みを根本からしっかりと改善したい」という場合は、治療系の治療院を選択してください。
逆に、「原因の説明などは必要ないからとりあえず、長時間気持ち良くなるようにもんでほしい」という場合は、リラクゼーション系を選択してください。
ここを間違えてしまうと、お互いに気まずい思いをしないといけないので、ご注意ください。
「技術レベル」か「価格と時間」かで選ぶ
リラクゼーション系であっても、治療系であっても、技術レベルを重視した場合は、その分価格は高くなります。
逆に、価格を重視(安いところ)の場合は、技術レベルは低くなります。 自分が技術レベルを重視しているのに、安い治療院に行ってしまったり、その逆になるべく安いところに行きたいのに、技術レベルを重視する治療院に行ってしまうということになると、どうしてもニーズに合わないため、治療院選びを失敗したということになってしまいます。
質の高い技術で治療を受けたいのであれば、1回の治療料金が比較的高い治療院を選択してください。(6000円〜10000円ぐらい)
その逆に、「技術は必要最低限で良いので、なるべく安く長い時間もんでもらいたい」という場合なら、なるべく価格の安い治療院を選択してください。
◆まとめ
治療院選びに失敗しないためには、法律やルールを守ってる院であること。
慢性の肩こりや腰痛は健康保険は使えないとはっきりしている院であること。
誇大広告をしすぎていないこと。
国家資格を持っていること。
治療院の得意とするところを把握して、治療系なのかリラクゼーション系なのかを見極めること。
こういったことを選ぶ基準にしていれば、間違える確率は少なくなります。
これを読んでくださった方が、治療院選びで失敗しないことを心から祈っています。
良い治療院に巡り合いますように。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
(監修:柔道整復師 福井健人)