いつも読んでくださり、ありがとうございます。院長の福井です。
◆はじめに
当院の患者さんの中には、1日中、デスクワークをされている方がたくさんおられます。
その多くは、パソコンで作業をされています。
症状ランキングで言うと、肩こりと腰痛が圧倒的に多いです。
私は、長時間同じ姿勢であまり動かずに作業をすることが苦手なので、デスクワークを選びませんでした。
その私ですら、多少は事務仕事をしないといけないことがあるのでわかるのですが、たった30分パソコンに向かって
作業をしているだけでも、腰やらお尻が痛くなってくるのです。
これを8時間以上するとなると正気の沙汰とは思えません。
腰痛は多くの人が抱える問題で、特にデスクワーカーにとっては避けられない課題の一つです。ここでは、腰痛に対する理解を深め、日常生活でできる予防策や対処法についてご紹介していきます。
読者の皆様が腰痛と上手に付き合うことができて、健康的な生活を送るための参考になれば嬉しいです。
◆腰痛の実態
日本整形外科学会の調査によると、日本全国の腰痛持ちは3000万人いると推計されています。
日本人の約30%以上が抱えると言われている腰痛ですが、その原因が特定されるのは約15%と言われています。
CTやMRIなどの画像検査で特定される「特異的腰痛」は全体の約15%に過ぎないと言われています。
病院に行ってレントゲンの検査を受けても「骨に異常はないので、痛み止めと湿布を出しておきます。これで様子を見ましょう。」と言われるのは、このように原因がよくわからない腰痛の方が多いから仕方ない部分もあるんですね。
最近は、医学の進歩で、検査技術や治療技術もかなり精度は上がってきているので、ハッキリ原因がわかるものも増えてきているようです。ですから、どうしても原因を追求したい方は、大きい病院に行って精密検査をすれば、わかるケースがありますので、診察を受けられることをお勧めします。
しかしながら、やはり原因がよくわからない腰痛、いわゆる「非特異的腰痛」の方が、依然として多いということは間違いないと思います。
これは、腰痛を抱える多くの人が特定の疾患によるものではなく、生活習慣や姿勢など、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生していることを意味します。特に現代のストレス社会においては、毎日のように嫌なことやイライラすることが起こりますので、心因性腰痛と呼ばれるものまで出てくるようになっていて、心理的な問題も潜んでいることもあるようです。
◆なぜ私たちは腰痛に悩まされるのか
腰痛の大きな原因の一つは、身体の深部にある『腸腰筋群』と腰背部筋の関係があります。
通常、腸腰筋群が背骨を支え体幹を安定させるサポートをしています。さらに股関節の運動にも大きく関与しています。
この腸腰筋が、うまく機能しなくなってしまった時に腰への負担が大きくなると考えられます。
腸腰筋群が使えない→体幹が不安的になる→腰背部の筋肉に負担がかかる→体が歪む→腰椎や椎間板への負担が大きくなる→腰痛になる
このような流れで腰痛になってしまう方が多いようです。
◆デスクワークで気をつけたい腰痛対策
あまり知られていないことですが、立っているより、座っている方がが腰に負担がかかります。
ナッケムソンという研究者が、立っている姿勢、座っている姿勢でどちらの方が椎間板に負担がかかるかという研究をされました。
その研究によると、立っている状態に比べ、座っている姿勢は腰椎にかかる負荷を40%増加させ、前傾姿勢や重量を持ち上げる動作は100%以上の負荷増加を引き起こすことが示されました。前傾姿勢が椎間板の圧の変化に与える影響についての研究は、衝撃的なものだったようです。
このことから、立っているよりも、座っていて、なおかつ前傾になる姿勢不良の方が、『腰の負担』が大きくなり、腰痛のリスクが高まると言えそうです。
◆簡単にできるデスクワークの負担の減らし方
①机の高さや椅子を見直す
②スタンディングでPC作業をする
③就業時間でも30秒ほどの運動をする
④座り姿勢を見直す
⑤椅子にクッションを置いて座る
こういったことを意識するだけでもかなり負担は減るはずです。
当院で推奨しているのは、③④⑤です。
③8時間勤務の中で、トイレで立ち上がる、お昼休憩で外に食事に行く、用事で会社内で歩く。デスクワークから離れる場面があれば、
背伸びをしてみる、屈伸をしてみる、体をでんでん太鼓みたいにひねってみる、深呼吸をしてみる、など30秒ぐらいでできる体操を
こまめに行うことで、血流が良くなります。
④坐骨という太ももとお尻の境目の奥にある尖った骨があるのですが、それを椅子の座面に突き刺すようなイメージで座ると
座り姿勢が安定します。そしてそのポジションのまま背もたれにしっかりと背中から腰を隙間なく密着させて座ると完璧です。
⑤できればドーナツ型のクッションを置いて座るようにしてもらえると、お尻にかかる圧が分散するはずなので、これで腰への負担も
減るはずです。
ぜひ一度お試しください!
◆まとめ
デスクワークで長時間座っていると腰が痛くなるのは、先の研究の結果からもわかるように、身体の構造上仕方ないことです。
しかし、仕事は仕事なので、腰痛を回避するためにやめるわけにはいかないので、
30分に一回は立ち上がっていただき、その場で30秒ほどの体操をするだけでも腰の負担は軽くなります。
また、座り姿勢のポイントをお伝えしたようにしっかり坐骨を座面に突き刺し、背もたれにピッタリと体を密着させて座りましょう。
そして、道具にも頼ってください。ドーナツ型のクッションでお尻にかかる圧を分散させてください。
ぜひ一度お試しくださいませ。
最後に、頑固な腰痛は自分1人では解決できないことの方が多いと思います。時には治療が必要なこともあります。
そんな時はお近くの、国家資格をお持ちの治療院へご相談ください。きっと力になってくれるはずです。
手前味噌ではありますが、当院でもデスクワークの腰痛解消の治療を施術しております。お近くに住まいの方や勤務されている方はいつでもご相談くださいませ。
【監修:柔道整復師 福井健人】