いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
院長の福井です。
◆はじめに
私の日課は、早朝ウォーキングです。
雨が降らない限りは毎日5:30から6:30ぐらいを目安に家の近所を色々なルートで
歩き回っています。
早起きして、歩いて体を動かすととても頭がスッキリして気持ち良いです。
最初は10分ぐらい散歩程度でしたが、段々と時間も距離もスピードも上がってきて
楽しくなってきました。
最近、三寒四温で朝晩が寒くて、日中は暖かいという日が続いていますね。
歩いているともうすぐそこに春がやってきていることも感じます。
季節の変わり目にはこの気温の変動が頻繁に起きますよね。
そして、1日の中での気温の差や、昨日と今日の気温の差などがもたらす「体の疲れ」というものがあります。
それが「寒暖差疲労」です。
最近はこういった症状を訴える患者さんが多く来られています。
今回は、季節の変わり目に頻繁に発生する、寒暖差疲労というものについて書いていきます。
この時期を健康に心地よく過ごすための知識と対策を探っていきましょう。
◆寒暖差疲労ってなに?その原因とメカニズム
おさらいですが、「寒暖差疲労」とは、気温の急な変動が体にストレスを与えてしまい、その影響で体に生じる疲労感のことを指します。
この疲労の背後にはいくつかの生体メカニズムが関係しています。
①自律神経の乱れ:体は常に安定した体温を保つために努力していますが、外部の気温や気圧が急激に変わると、それに対応するための調節機能が追いつかなくなります。大急ぎで調整しようとしても間に合わず、常に調整機能がフル回転で働かされた結果、自律神経に負担をかけ、混乱を生じさせることがあるのです。
②代謝の変化:気温が急激に下がると、体は寒さから身を守るために体温を上げようとしたり、体温を保とうとします。逆に、暑くなると、汗をかいて体を冷やそうとします。このような急激な代謝の変化はエネルギーが激しく消耗し、それが疲労感として出てしまいます。
③ホルモンバランスの乱れ:体温調節はホルモンの分泌にも影響を与えます。特に副腎から分泌されるコルチゾールというストレスホルモンの分泌量が増加し、これがさらなる疲労感や不調を引き起こす可能性があると言われています。
このように、急激な気温の変動は様々な生体反応を引き起こし、それが「寒暖差疲労」として私たちの体に現れると言われています。
◆筋肉と血行の影響
寒暖差の影響は自律神経だけではなく、筋肉や血行にも大きな影響を及ぼします。
①筋肉の緊張:寒さにより筋肉が収縮し、その後の暖かさでリラックスする。この繰り返しは、かなりのエネルギーを消耗します。寒さに適応する前に暑くなったり、暑さに適応する前に寒くなったりすることに体は混乱してしまうようです。
平然と落ち着いてどっしり座ってリラックスしている時と、バタバタ忙しなく動き回っている時とを比べてもらうとわかるように、どちらが消耗が激しいかは一目瞭然ですよね。
寒暖差が激しい時は、後者のような状態ということですね。
こういった状態が続くと、筋肉に疲労を蓄積させます。特に、急な気温変動が続くと筋肉疲労が顕著になり、こわばりや痛みの原因となることがあるのです。
②血行不良:寒さは血管を収縮させ、血流が悪くなることがあります。これにより、体全体への血液の供給量が不足してしまい、筋肉や臓器への酸素や栄養の供給が不足し、疲労感や冷えといった症状を引き起こす可能性があるのです。
③関節の負担:気温の変動や湿度の変化は関節にも影響を及ぼし、関節痛の原因となることがあリます。
特に、膝などの関節に問題がある人は、季節の変わり目に痛みが増加することが多いようです。
昔、おばあちゃんが天気が悪くなる前とか、気温が下がる前になると膝が痛いと言っていたのは、このことだった訳ですね。
筋肉の緊張、血行不良、関節の負担。これ以外にも本当に多くの問題を引き起こすのが寒暖差です。
天気予報の週間予報などチェックして適切な対策を取ることが重要です。
◆具体的な対策と予防
①服装:急激な気温の変動に柔軟に対応するため、重ね着が良いでしょう。
良い例としては、吸水性と速乾性を併せ持つ肌触りの良いインナーウェアにカーディガンやジャケットを組み合わせることで、気温に合わせて簡単に調節が可能です。そして急激に冷えた場合に備えて、薄手の軽量ダウンジャケットもバグに忍ばせておくのも良いでしょう。
また、ニット帽子やストール、マフラーを活用することで、体温の大部分を逃すことなく保温できます。
②運動習慣:筋肉の疲労を和らげるため、毎日軽い運動をすることが大切です。一番取り組みやすいのは散歩です。
最初はそれほど頑張らずに近くのコンビニまで行って帰ってくるとか、近くの公園まで行って一周して帰るとかでも構いません。習慣化してしまえば私のように、時間がどんどん伸びたり、距離が増えたり、スピードアップしたりしていきます。
近所の景色を楽しみながら、新しい発見もあったりするのでお勧めです。
朝の軽いウォーキングや寝る前のストレッチは、筋肉のこわばりを予防し、血行を良くする効果が期待できますので、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。
③睡眠時間の確保:質の良い睡眠は、寒暖差疲労を軽減する鍵となります。理想は7時間睡眠です。これよりも下回ると疲労回復せずに翌朝を迎えてしまうので、ご注意ください。
寝る前にデジタルデトックスを取り入れ、スマホやタブレットを寝室に持ち込まないようにしたいですね。ブルーライトを浴びることで自律神経が高まり、眠りの質を低下させてしまいます。
就寝1時間前には必ずリラックスタイムを設けてほしいところです。暖かいお風呂やリラックスできる音楽を聴くなど、睡眠環境を整える工夫をしましょう。
④栄養のバランス:季節の変わり目は体調を崩しやすい時期ですので、ビタミンやミネラルをバランスよく摂取することで、体の抵抗力をアップさせることが可能です。特に、暖かいスープや煮物を取り入れることで、体を内側から温めることができます。
これらの対策を日常に取り入れることで、寒暖差疲労を軽減し、快適な毎日を過ごすことができるようになります。
◆まとめ
日本には春夏秋冬の四季があります。最近は温暖化の影響もあって明確な四季がなくなってきているようですが、今でも季節の変わり目はしっかりありますので、
私たちの体は日々の環境の変化、とりわけ気温の変動と戦っています。戦っているということは、自然にエネルギーを消費しているということです。
何も対策を取っていないと、単にエネルギーの無駄遣いになってしまって、ただ疲れやすい体になってしまうだけです。
そこで、正しい知識と日常のちょっとした工夫をすることで、この「寒暖差疲労」を乗り越えることができます。知っているか知っていないかの違いです。
・適切な服装の選び方
・日常の軽い運動
・質の良い睡眠
・バランスの良い食事
これらはその中心となる対策です。季節の変わり目の不調は避けられないかもしれませんが、それを最小限にとどめ、健康で快適な日々を過ごすことは十分可能です。季節の変わり目を楽しみながら柔軟に対応する体を目指しましょう。
(柔道整復師 福井健人 監修)