いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。院長の福井です。
「先生、私運動苦手なんです。どうしても運動しないといけませんか?」とご相談されることがよくあります。
どうにかして、楽して痩せたい。楽して筋肉をつけたい。そういうお気持ちがあるのは痛いほどよくわかります。
人生の大半を肥満だった私が言うのだから間違いありません。
そんな私が運動の重要性について今回はお伝えしていきたいと思います。運動嫌いの方はぜひ最後までお読みください。
◆はじめに
どれだけ細身の方であったとしても、最低限の日常生活が遅れているのであれば、筋肉はきちんとついています。
ですが、これまで通り、何もせずに筋肉がこれから先も自分の意思通りに動いてくれるかどうかは非常に怪しいです。
運動はしたくないけど、筋肉は落としたくない。そういった方がこれからどのようにしていけば良いのかの道標になれれば幸いです。
◆筋肉はどうすればつくのか
筋肉の付け方を語る前に、筋肉がどのようにして弱っていくのかをお伝えします。
骨折をした方でギプスをつけたことがある方はご経験があるかもしれませんが、もうそろそろ治る頃だからギプスを外すことになって、パカっとギプスを外すと、異様に足や腕が細くなったという話を聞いたことはないでしょうか?
この例のように筋肉の常識として知っておいてほしいのは、筋肉は使わないと退化して衰えていくということです。
ある実験では、2週間脚を動かさない生活を続けた結果、若い人で28%ほどの筋力が低下し、485gの筋肉の減少が認められたということでした。
高齢者では、23%ほどの筋力が低下し、250gの筋肉の減少が認められたということでした。
恐ろしいのは、高齢者の場合、週3、4回のトレーニングを6週間続けたのにも関わらず筋力は戻らず、結局元通りになるのに3倍以上の時間が必要なことがわかりました。
このことからも普段から運動することの大切さがわかりますし、もし仮に病気やケガで長期入院を余儀なくされた場合、筋肉だけでなく、関節や臓器の運動機能まで低下する恐れも出てきます。
高齢者の場合はもっと深刻で、長期入院で安静を続けた場合、肺妖精症候群といって、自分の意思通りに体が動かせなくなっていき、うつ病になったり、寝たきり状態になり、認知症になっていくという最悪のパターンになってしまいます。
また、QOL(クォリティ・オブ・ライフ)生活の質が著しく低下することも懸念されるため、筋力低下や筋肉量を最低限維持しておかないと自分だけではなく、周りにも多大な負担になってしまうということを覚えておきましょう。
◆これから大きな社会問題になりそうなサルコペニアとフレイル
若年層の運動量が激減していると言われている昨今ですが、将来的に心配なこととして、「サルコペニア」という状態の人が増加する可能性が高いということです。
サルコペニアというのは、ものすごく簡単にいうと、運動不足が原因で筋肉が退化して筋肉の量が減って、まともに動けなくなるというものです。
そしてその状態で年齢を重ねていくと、筋力低下や心身の働きが低下し、要介護に近づいていきます。この状態のことを「フレイル」と言います。
結局は、筋肉を鍛えておかないと、将来的に相当なハンデを背負うことになりかねないということです。
◆落ちてしまった筋力や筋肉量を復活させる方法
普段運動をする習慣がないために落ちてしまった筋力や筋肉量を復活させるには、ウォーキングや筋力トレーニングが必要になってきます。
ところが、運動にネガティブなイメージのある人は、スポーツジムで行うトレーニングやボディビルのようなトレーニングのことを想像してしまい、敬遠されている人も多いと聞きます。
もちろんそのようなハードなトレーニングをしなくても筋力はつきますし、筋肉量も増えます。
まずは家の近所の町内をぐるっと散歩するぐらいから始めることをお勧めします。
慣れてくれば、少しずつ距離を伸ばし、スピードを上げていきましょう。
ポイントはいきなりやりすぎないことです。初めの1ヶ月ぐらいは長くても30分までにしておきましょう。
ちょっとずつ慣れてきたら、自重トレーニングといって重たいものも持たず、機械も使わず、自分の体重による負荷だけをかけたトレーニングを入れていきましょう。
意外かもしれませんが、ラジオ体操も自重トレーニングの一つです。ラジオ体操から始めることをお勧めします。ラジオ体操第一だけで構いません。
慣れてくれば、ラジオ体操第一と第二を動画を見ながら行いましょう。
ラジオ体操を行う時のポイントは一つ一つの動作を丁寧に大きく動かすことを意識してみましょう。
散歩30分、ラジオ体操10分としても40分です。1時間もかかりません。
このぐらいだったら自分にもできそうと思いませんか?
◆もう年だからと諦めていませんか
人は簡単に裏切るけど、運動していれば筋肉は裏切りません。やったらやった分、応えてくれます。
これは年齢は関係ありません。
いくつになっても筋力はアップしますし、筋肉量も増えてくれます。
ご自分の体を信じて、運動を続けましょう。
そして、どれぐらいで変化が出てくるのかということですが、過去に運動していた方で、2ヶ月〜3ヶ月ぐらい経過すると変化が少しずつ現れます。
あまり運動をされてこなかった方は、4ヶ月〜6ヶ月ぐらいが大体の目安になります。これはあくまでも目安ですので、これよりも早く成果が出る人もいれば、遅くなる人もいます。
地道にコツコツやっていきましょう。
◆まとめ
今回は、運動が苦手な方のために、筋肉の重要性をお伝えさせていただきました。
少しでもこれを読んでくださった方が運動の大切さを知っていただいて、ちょっとした運動を始めていただければ、これ以上の喜びはありません。
ご自分の体力レベルに合わせて無理のない範囲で少しずつ運動を始めてみませんか?
(柔道整復師 福井健人 監修)