いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。院長の福井です。
◆はじめに
当院には腰痛の方が比較的多くご来院されます。
その中で、ごくごくたまにではありますが、当院では対応ができないものもあったりします。
いわゆるレッドフラッグというやつです。(直ちに専門病院に行っていただくような症状のもの)
◆レッドフラッグの具体例
具体的にどういったものかと言いますと、内臓に何か病的な問題のあるケースで、
・消化器系の疾患:胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胆石症、胆嚢炎、膵炎など
・泌尿器系の疾患:尿路結石、腎結石、腎盂腎炎、前立腺癌など
・婦人科系の疾患:子宮内膜症、子宮筋腫、子宮がん、乳がんなど
・循環器系の疾患:心筋梗塞、解離性腹部大動脈瘤など
こういった内臓疾患やがんによって腰痛が引き起こされる可能性があります。
がんが進行して骨や他の組織に広がることで腰痛の原因となることがあります。
特に、乳がんや子宮がん、卵巣がんなどの女性特有のがんが進行すると、腰部に痛みを感じる傾向にあります。
がんが骨に転移すると、骨が破壊されることで強い痛みが生じることがあります。
膵臓がんの腰痛は、膵臓がんの腫瘍が周囲の組織や神経を圧迫することで引き起こされることが多いようです。
痛みの特徴としては、鈍痛や焼けつくような痛みがあり、持続的に感じることが多いです。また、体の姿勢や動きによって痛みが増減することもあります。
私自身、20年以上の臨床経験がありますが、現場で実際にこういったケースに遭遇したことはそれほど多くはありません。
ただ、どうみても普通ではない状態と感じて、専門病院を紹介して後で判明したものとして、胆石症、憩室炎、十二指腸潰瘍、心筋梗塞、てんかんといったものがありました。
◆まとめ
臨床経験を何年も重ねて、治せるものが増えてくると、どうしても自信が出てきて、何でもかんでも治せるような気がして過信してしまいがちですが、私がいつも心がけているのは、何か病気が潜んでいるのではないかという疑いの目を持って患者さんを観察することです。
いつも通りの会話で、いつも通りの流れで、いつも通りの施術ばかりしていると、どこかで必ず大事なことを見落としてしまうと思っています。
患者さんは、ご自身の具合が悪いことはわかっていても、どこへ受診して良いものかわかっていないことが多いと思います。
普通の腰痛でしたら整骨院や整体院などに行くと改善する道筋は立てられるのですが、いつもと何か違う腰痛を感じたら、まずは整形外科やかかりつけの病院に行かれることを強くお勧めします。
(柔道整復師 福井健人 監修)